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リサコラム
連載981回
      本日のオードブル

『饒舌の時』

第6話

「ホテル・ローズの秘密」


木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つデザイナー。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。




「トリコロールは

自由、平等、友愛の証って

言うんですがね、」

日の丸にはどんな意味が込められているのですか?

ええ、そんなこと言われたら

困る。

チコちゃんに聞いて見ないと…



 



第6話 「ホテル・ローズの秘密」



  「ほら、最近できたあのホテル知ってる?」


 「ああ、あれね」「ホテル・ローズっていうんだけどね、

こんな田舎町に忽然と現れたって感じじゃない?」


            


 「そうね、でも、きれいそうなホテル」「実はいわくありげなのよ。

江戸から明治時代、あのホテルの場所に古井戸があったらしいの

よ。なんでも、若い女性が、身投げしたらしいわ。それも

次から次に!」「わ~、恐ろしい」「だから、夏の夜になると、

夜な夜、白い煙みたいなものがあのあたりから立ち昇って、

そして辺りをぐるぐる飛び回って、時々はすすりなく声とかも

聞こえてくるらしい」「へ~ほんと?こわ!」


            


 「元は、格式ある商家があったらしいの。その家が焼けて、井戸

だけ残ったんだって。その家で、若くして亡くなった女性が井戸の

底から次々と若い女性を引きずり込んでいるって恐ろしい噂がある

のよ。その女性は、娘の時に奉公に出されて、その後、その商家に

お嫁に来たらしいんだけど、子供もできて幸せに何不自由なく暮ら

していたのに、あるとき、急に具合が悪くなって、数日寝込んだ

後、若くして亡くなってしまったらしいのよ。


            



 お葬式も済んで、それから、しばらくしたある夜、子供が、

『2階にお母さんが来てる』って家族に言ってきたのよ。家族

は、きっと子供に会いたくなって出てきたんだろうって思って

いたら、その後、度々やって来ては、たんすの周りで悲しそう

に泣いているんだって。家族の人たちはこの世にまだ未練があ

って、成仏できていないんだろうと、お寺の和尚さんに相談し

たんだって。そこで、和尚さんが、夜中にたくさんのろうそく

に火をともして、お経をあげて彼女を呼び出して、話を聞いた

らしいの。するとね、そのたんすの引き出しの下の裏紙に大事

な手紙を隠していて、それを夫にも家族にも見せたくないから

取り返しに来ているんだと泣きながら訴えたそうよ。


            


 和尚さんはすぐに、家の人には内緒でその引き出しの下の裏紙

の下にあった手紙を探し出して焼き払ったという話なんだけど、

話題のネタは、彼女が化けて出てまで取り返したかったものは一

体何だったんだろうってこと!もう、狭い田舎町だから、噂が噂

を呼んで、和尚さんしか知らなかったはずのことが、あっと言う

間にみんなが知るところになって。きっと、彼女は奉公時代に恋

文のやり取りがあって、今もその人に未練を持っていて、忘れら

れないんだろうと、噂は噂を呼んで…


            


 それから間もなく、その家は火事で全焼してしまって、家の人た

ち全員が亡くなってしまったのよ。彼女は、あの和尚さんが手紙

をほんとに燃やしたかどうか不安になって、家もろとも燃やした

んだろうなんて、口々に噂したそうよ。そして、残った井戸の底

に住んでいて、若い女性を次々と井戸に引き込んだんだって、

150年も前の話なのに、この町の人はみんな知ってるわね。


            


 それから、井戸を埋めて、地元の不動産屋が売りに出しても、

何十年もの間、買い手がつかず、そしたら、最近、塀ができてそ

こにワンルームマンションが建ったのよ。地元の人はその話を

みんな知っているから、もちろん、だれも入らなくて…」

「そりゃ、そうよね、そんなお化け屋敷!」


             


 「それから、1年後、何も知らないよそから来た女性デザイナ

ーが、そこのワンルームマンション丸ごと破格で買ったんだっ

て。そして、中を全部改装して、家具付き、カーテン付きのホテ

ルみたいな分譲マンションにしたんだって。それが、ものすごいら

しくて、まるで宮殿みたいだっていうんだけど、誰も中を見たこと

がないのよ。大工さんもわざわざ都会から呼び寄せた人で、情報

はその宮殿ということまでしかわからないの。それからすぐ、

また、都会から来た別の人が丸ごと全部買い取って、

『ローズ・ホテル』って名前をつけてホテルにしたらしいのよ。

そうしたら、なんと即日、売れたらしい!それを買った人は

イギリス人らしいの。イギリスではお化けが出るホテルほど高

く売れるらしくてイギリスから来た旅行者に大人気らしいのよ」


            


 「へ~、イギリスから?こんな田舎町に?」「SNSの観光

ガイドには、悲恋物語として、尾ひれがついて、バズってるん

だって」「そう!今ならそれもありかも」「でも本当のところ

は別の奥行があるんじゃないかって、私は思ってる」「奥行?」

「つまり、お化け屋敷とかミステリアススポットとして外国人

観光客を呼んだら、きっと、町に活気がでるって発案した人が

いて、田舎町の風情のある場所に、まずは広いワンルームマン

ションみたいなものを地元の建築会社に建てさせて、お化け屋

敷の偽の伝承をつけて、その後、よその人に転売したと。

150年前なんて誰も生きていないから、適当なことを誰かが言い

ふらせば、拡散してそれが伝承になる時代でしょ?ローズ・ホ

テルには、マリー・アントワネットの部屋なんてあるのよ。な

んだか、ミステリアスじゃない?」


            


 「そういうことなのね!なるほどね~」「つまり、町中の人が

地元のために、悲恋物語のミステリーをでっちあげて、観光地化

して、観光客を集めたってことらしい」「ああ、今は、そんな時

代か~。ありえるね。ミステリアスツアーガイドありがとうござ

います。でも、実際のところ、どこまでほんと?」


「さあ、ご想像にお任せします」




   



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。



p.s.1


ラフカディオ・ハーンの昔話からヒントを得ました。



p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
「もの、こと、ほん」は下の写真から、2025年8月号です。



           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

    の英語版です。

    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”

    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:

    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に

    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに

    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。

    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 







































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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