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リサコラム
連載857回
      本日のオードブル

カフェにて

第9回

「 神話と現実」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。





ンク
の床に
白いテー
ブルクロス
今日は誰かの
お誕生日のようです
濃いピンクのバラの花束
ええと、1,2,3,4…
14個のデニッシュでしょうか?
ナイフとフォークで行儀よく頂く…
ステキなお誕生日会になりそうな
早速、覗いてみましょう。


 



第9回 「 神話と現実」



 晴れの土曜日の昼下がり、桜並木のある公園には、薄ピンクの花

びらを頭に乗せた多くの老若男女。地面に敷物を広げ、飲み物片手

にごちそうをつつきながら、話しにも花が咲いているようです。

コロナ禍で抑圧された憂さがここで一気に晴らされているのでしょう

か?みなさん、陽気に楽しんでおいでのようですね。


            


 その桜の公園から少し小高くなった場所に花見客の様子を見下ろす

かのように壁のすべてがガラス窓で覆われたカフェがあります。見た

ところ、女性客でにぎわっているようです。今日は窓際の女性2人だ

けの密かなお誕生日パーティーにちょっとお邪魔してみましょう。


            


「りんちゃん、ボナニベルセール!お誕生日おめでとう」

「ありがとう。サンテ~!カンパーイ!うれしい~!」

「カンパーイ!」

「でも、よくこんな素敵なカフェ、知ってたわね」

「実は、去年、私もあの下の公園に来たのよ、会社の同僚と花見に

ね。金曜日の夜で盛り上がりはしたけど、でも、あの公園から見る

と、ここのカフェがまぶしく光っていて、あっちの方がロマンチッ

クでいいねぇなんて思っちゃって、後でちょっと覗いてみたのよ」


            


「へ~、そうだったんだー」

「そうなのよ。だってさー、なんか地べたに座って、コート着込ん

で、『さむ、さむ』なんて言いながらビール飲んでるとすぐトイレ

行きたくなっちゃって、公園のトイレはきれいとはいいがたいし、

並ばなきゃいけないしね、あんまり楽しくはなかったのよ。それに

比べたら、あのきれいなカフェで、暖炉もあって、カップルみたい

な人たちがカクテルでフレンチな花見アペリティフやってるのかな

って思うと、こちらはキャンプ、向こうは高級ホテルのバーでし

ょ、わざわざ好んでみすぼらしいことしなきゃならないのかなって

感じもしてね。だから、今度はあの素敵なカフェで花見したいな、

なんて思ってたのよ」


            


「あら、そうなの?こんな私でよかったのかしら?」

「もちろんよー。だってさ、カクテル酌み交わす人なんていない

しね。それにもうそんなドラマじみたシーンに飽きちゃったのよ」

「飽きちゃった?」

「なんて言うのかしら、美男美女のロマンチックなカクテルシーン

は、ドラマの中だけでしょ。現実は誰かの悪口言ってるだけよ、あ

の花見の人たちみたいにね。そのどちらも、もう飽きたって感じか

な」


            



「なるほどね、現実そのままも嫌だけど神話的美もいやって感じ?」

「そうそう、最近のインスタ見てると、ほんとそんな神話的に美し

い街がたくさんあるわよね。特にクリスマスから新年にかけてのヨ

ーロッパの街なんて恐ろしく美しいでしょう~。建物にはイルミネ

ーション、クリスマスマーケット、パリのエッフェル塔は七色に輝い

て、みんな惚れ惚れするよね~、さすがはパリって。凱旋門から伸び

るシャンゼリゼ大通りでみんながイルミネーションの街路樹の下で

愛を語らい。そして乾杯し、素敵にロマンチックに時を過ごして…

そんな映像たくさん見たんだけどね。でもね、私その裏ビデオみた

いなもの知ってるの。みんなが思い描くパリの神秘的なほどロマン

チックなイメージとその反対の現実をコミカルな動画で見せてるイ

ンスタがあるのよ!」


            


「パリの街の裏ビデオ?」

「そう、ロマンチックなパリは神話で、現実はまるで違うってやつ

よ。パリのアパルトマンに住むカップルのまぁ、ちょっと三枚目っ

ぽい女性のコメディタッチのインスタグラムなんだけどね、『パリ

ジェンヌの神話と現実』ってタイトルでね」

「へーおもしろそう!」

「まず、神話のパリジェンヌはね、家を出る時、金髪でカールした

ロングヘアをなびかせながら、ロングコートの前を開けてエッフェ

ル塔に向かってハイヒールで闊歩するの。そう、腰を左右に振りな

がらね。片や現実のパリジェンヌはぼさっとした感じ。ダウンジャ

ケットにジーパン、髪の毛は無造作にゴムで束ね、彼女が古いアパ

ルトマンから出て来ると彼女の身長より高く積み上がったゴミの山

がお出迎え。ゴミの中には引っ越しゴミなんかも混じっているから

汚れた絨毯とか、破れた椅子とか、壊れた木製品も一緒に積み上が

ってるわけ。そこを避けながら歩くと、ゴミにつまずいて犬の排泄

物を踏んづけてしまうのよ~」


            


「わ~、悲惨、それ、でも、現実なんでしょ?今、パリはゴミ収集

会社がストでゴミの山って聞いたわ。それに、パリジェンヌってや

っぱりダウンジャケットとか着るんだ」

「高級なウールのコートをみんなが着ているって思ってるかも

しれないけど、世界中同じでしょ。そんなダウンジャケットの

彼女が雨でタクシー拾うとするとなかなか拾えなくて、ゴミ山の横

でベンチに座ってると思ったら、それが道路に打ち捨てられた

なんと便器なの。怒った哀れな表情…おかしかった~」


            


「はははっは、便器なんかそんなものを捨てる人がいるわけ!」

「そうよ。何でも捨てて、誰でも拾って持ってくんだって。まあ、

それは持続可能ななんとかでいいと思うけど」


「そっか、なんかパリのイメージ崩れる」

「それだけじゃないのよ。深刻なのは日常化しているぽい捨てゴミ

よ。ショッキングだけど、凱旋門からまっすぐに伸びるシャンゼリ

ゼ通りの美しいクリスマスイルミネーションだけ見て、ああ~美し

い、花の街、パリって思うかもしれないけど、その下の写ってない

場所は食べ殻のゴミだらけ。もちろん犬の糞もあれば、ネズミの死

骸なんかもいろいろさまざま。だからパリのロマンチックなイメー

ジは全く現実ではないって彼女は言ってるのよ。映像や画像に騙さ

れて行ったはいいけど、現実は、がっかりなんていうのあるでしょ

うね」


            


「そう、そう、あるある、もう海外はそればっか!」

「でも、人がいるところ、ゴミが生まれるんだもん。仕方ないよ

ね。あとはモラルの問題だけど」

「でもさ、パリジェンヌだって、カフェでコーヒー飲むんでしょ


            


?だからあんなにカフェが多いんじゃないの?」

「まあね、それもあるかもしれないけど、シャンゼリゼなんかで

コーヒー1杯3000円なんて払うと思う?ケチなフランス人が」

「フランス人てケチなんだね」


「ケチよ。もちろん。だって、安いって言葉ないんだから」

「じゃ、なんて言うの?」

「もちろん、高くないって言うのよ」

「なるほど」

「みんながカフェでクロワッサンをカフェオレに浸してお上品に

食べるなんてこと、ないのよ、きっと。マクドナルドはいっぱい

あるし、ハンバーガーとコカ・コーラが晩ご飯って人だっている

んじゃない?そっちが安いし、おいしいし」



「ああ、私、コカ・コーラの成分がどんなに体に悪い影響を及ぼす

かっていうフランス人男性2人のインスタグラム、見たことある

よ。えっ、なんでコカ・コーラって思ったけど、フランス人も

ハンバーガーにコーラ飲むんだね」

「今は世界中、同じようなもの、食べてるってことよね。でも、

こんなおいしいデニッシュ、私初めて食べた。2,3個だって平

らげられそう!」


            


「でしょ?クロワッサン生地をナイフでカットしたら中からトロリ

と出てくるカスタードクリーム。その熱々のカスタードクリームを

周りのパイ生地につけながらいただくってのが正式な食べ方よ。

ここのカフェの人気メニューなの」


「でも、こんなにたくさん?」

「もちろん、お持ち帰りOKだから」

「まあ、パリまで行かなくても、こんな美味しいカフェ、あるっ

てことか~」

「そう。身近で楽しみましょ。どんなに映像でステキ、ステキっ

て言っても、現実は現実だから。だから、私、現実主義でいこう

って最近決めたの。ああ、ごめんね、誕生日にこんなつまんない

話しちゃって」



「いいえ、どういたしまして!もうこの年になると、誕生日は人生

の終点に向かっている休憩地点なんて気がするのよ。だから、誕生

日にはちょっと待てよ、何かやり残したことはないか?間違っては

いないか?って、そんなことを考えてしまう、私ですから、へっへ

へっへ。今日のお話はとっても有意義でした」


            


「ほんとに?」「ええ、現実主義最高よ!」

「それじゃ、この残り持って、洗濯の山と洗い物の山の現実に戻

ろうか。そろそろ子供たちも帰ってくるころだしね」

「いずこも同じで、賛成です!




   



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。

   *リサコラムは毎週水曜日に連載いたします。

p.s.1

 パリジェンヌの神話と現実は「julie_collas_the_parisienne」で
検索してくださいませ。


p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
 
 「もの、こと、ほん」は下の写真から、2023年3月号です。


           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
    の英語版です。
    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”
    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:
    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に
    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに
    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。













































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
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 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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