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リサコラム
連載347回
      本日のオードブル




第5回


サラダ・ニソワーズ

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書”シンプル&ラグジュアリーに暮らす”(ダイヤモンド社)(06年6月)は
2012年12月で6刷)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。ただし
お酒はぜんぜん強くない。
好きな作家はロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、F・サガン、
マルセル・プルースト
、クリス・岡崎、他たくさん。


向かって正面にモザイクタイルの円柱の柱。
上の方はピンク、下はブルーもモザイクタイル。
そこにLa Vie en Roseの丸い看板。
左手に出窓2つ。上飾りはトリコロール。ブルーのチェックと
ピンクレッドのチェック。
私の座る椅子の張り生地もトリコロール。
他の椅子はブルーか、ピンクレッドの無地よ~。
私、これから毎日、白いテーブルクロスのこの部屋で
お食事するのよ。タダで。
バラ色の人生も、気楽じゃないわね~。
ああ、困ったな~



 
      
  





 


サラダ・ニソワーズ





            




「にーすよ。驚くうちはまだ楽しみがある」

 使い古いされたセリフを心の中で言ってみたものの、ノンアルコールでぼぅ~と

なった私の口から出てきたものは、「そんな、うそ~!」だった。


 「アルコールは扱っておりません。『きまり』なものですから」「きまり?」「

駐車場のあるバーはアルコールを出せないきまりなのです」「はあ~。そうですか

ぁ?その、村の条例とかで?」「ええ。そうです。だから、私どもは雰囲気で酔わ

せております」「な~るほど」私は酩酊の吐息をついた。


 淡々としゃべるところをみると、どうやら本当のようだ。そのとたん、恥ずかし

さで一気に仮想酩酊から醒めた。「雰囲気で酔わせてあげる にーすよ やるじゃ

ないか」私はつま先まで真っ赤になった裸足の足をビーズクッションの上で折りた

たんだ。


             



 驚きも収まらないうちに、さらにボーイたたみかけた。「本日は無料でございま

す」「え~ほんと~無料?」「ええ、新しくこの町にお越しくださった方はウエル

カムドリンクが無料でございます」「すごい!そうなの?」「そのバッグをお見せ

下されば3日間はこちらでのお飲み物は無料となります」「3日間も?」「はい。

そうです。私どものお店だけでなく、他のショップでもいろんなサービスを受けら

れます」「ああ、これね。これが新参者の証なのね?でも、どうやって3日間を判

断するの?」「はい。このバッグは日刊で、毎週曜日によってバッグの色が変わり

ます。今日お持ちの白いバッグは今週の土曜日の色です。「なあるほど。それで3

日間をカウントするのね」「ええ、そうなのです」I LOVE NICE(ニ

ース)“のバッグか~。「にーすよ。驚くうちはまだ楽しみがある」私は2度目を

つぶやいた。



             



 こんな情報どこにも載ってなかったよ~。それなら、もっともらしく悲しい顔し

て別れてくるんだったな~。そしたらもっと愉快だったのにね。私は石畳をよろよ

ろといい気分で歩きながら、海風にセミロングの髪の毛をなびかせていた。


 ラ・ビィ・アン・ブルーの次は、ラ・ヴィ・アン・ローズか、お楽しみのフレン

チは、オール・インクーシブぅ~!


 最高に上機嫌だった。辺鄙な田舎町に来たはずだったのに、、いきなりバラ色の

人生を歩み始めているのかも?だって本物の「バラ色の人生」の中に足を踏み入れ

るんだもの。


 「こんばんは」「ああ、カナコさま、お帰りなさいませ。ようこそ、ラ・ヴィ・

アン・ローズへ」バトラーのケンはニコニコしながら手招きで招き入れた。



              



 中は予想以上に広々として、奥の中央にはピンクとブルーのモザイクタイルの柱

がおしゃれ出窓にもピンクとブルーのストライプのカーテン。明るい木の床を歩

くと、本物のおフランスの匂いがした。う~ん、こたえられない。いい匂いは、胃

袋の近くまで充満してきた。


 「お席はこちらでございます。」ケンは私をトリコロールに張られた椅子に案内

した。「こちらは、特別席でございます」確かにテーブルクロスも長く私の足元ま

で下りている。「カナコさまのお食事は定食で、前菜は10種類の野菜のソテー・

ニソワーズとメインは2種類です。ビーフステーキか、200億年前のピンクソル

トでシンプルに仕上げたスズキの3種の香草焼きと取れたてマッシュルームとシイ

タケを秘伝のソースでソテーしたものからお選びいただけます。メインはどちらに

なさいますか?」



               



 「え、えっと、ビーフステーキとぉ~、200億年前のピンクソテーのなんでし

たっけ?」「はい。200億年前の地層から出たピンクソルトでシンプルに仕上げ

たスズキの3種の香草焼きに取れたてマッシュルームとシイタケを秘伝のソースで

ノンオイルソテーしたものでございます」「それじゃその200億年に」「はい。

かしこまりました。


 「次にサラダは、3種類からお選びいただけます。グリーンサラダか、トマトサ

ラダか、芽キャベツ、ビーツ、トリフ添え、とれたてジャガイモのパンケーキ付・

サラダ・ニソワーズ、がございます。どれになさいますか?」「えええ~、グリー

ンサラダと、トマトサラダと~、あと、その長~いメニューの」「はい。芽キャベ

ツ、ビーツ、トリフ添え、とれたてジャガイモのパンケーキ付」「それ、そのパ

ンケーキつきの」「かしこまりました」ブルーの帽子にダークグリーンのギャルソ

ンエプロンをしたボーイは「みなさま、そうなさいます」と言うとにっこりして立

ち去った。あたりまえじゃないのよ~。でも、その策略に気付いた時はもう、テー

ブルには10種類の野菜のソテーが顔を並べていた。



             



 「その芽キャベツおいしいわよ~」私はフォークに突き刺した芽キャベツを口に

運ぼうとしていた時、隣の席のおかっぱ段カットの中年女性と目があった。

 「それ、私が作った芽キャベツなの」「あっ、そう、そうですか!おっいし~で

すね」こげ茶より赤に近い髪の毛と、派手なグリーンのシャツにビビットな赤いハ

ートのアップリケ。


 「そのトリフ、私のトリーが取り出したの」「トリーフがどうしたんですか?」

「ふふふ、私の犬のトリーが掘り出したトリフってこと」「あなた、今日の人?」

「ああ、そう、そうです。その今日の人です」赤茶のおかっぱマダムは私のトート

バッグを見て、「トミ子よ。よろしくね」と手を出した。

 どうやら2人目のニースの友人は、“トリフを取り出すトリーのトミ子”になり

そうだ。



            



 「にーすよ。驚くうちはまだ楽しみがある」メインディッシュに行く前に3度目

のセリフを言ってしまった、わ、た、し、どうなる?




     





   *p.s. 楽しいもの=想像上で作る料理。楽しくないもの=消しゴムのかす
        本日のイラストの下絵消しはKに手伝ってもらいました。
        消すだけで約40分かかります。仕上げは虫めがねを使って消します。


   *イラストもストーリーも実在の場所などとは関係ありません。

   *上のイラストから「リサコラムの部屋」へ入れます。
    こちらも人気のページです。ご愛読に感謝致します。

    毎週火曜日更新連載です。

   * 「リサコラム」は毎週月曜日連載です。



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。



    




シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-               

(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      

(Amazon、書店では1,500円で販売しています。)

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて1,800円にてお届けいたします。  
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。                                
    
    お申込はこちら→「Contact Us」           
                          

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