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リサコラム
連載483回
      本日のオードブル

私が目覚める場所

第11話

「東の壁」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。ただし
お酒はぜんぜん強くない。
好きな作家はロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。


180度の
大パノラマ
西から南を通って
東へ通じる道が太陽の道。
それを一望のもとにできるお部屋です。
南のベランダにあるのはホライゾンプール。
今ではビーチリゾートの定番となった、海に
流れおちるプールで水浴びをして、
西のデッキチェアに腰かけて
夕日を眺め、東の空に
朝日を眺める。
白く大きな
バスタブ
白く大きな
タオル
白く大きな
ベッドと、そのほかに、
あなたを癒すのに必要なものは何ですか?

 
      
  





      

第10話 「東の壁」


 「そっちはどうお?」西亜紀はデイベッドに横になったままでななめ左の方に向っ

て声をかけた。


            


 時折ぴちゃ、ぴちゃと水音を立てながら、その合間に「青いまんまよ」と返事をし

たのは、海に流れ落ちるように設計された水浴びプールの中にいるミナミ。およそ1

時間前から時折ぴちゃ、ぴちゃ音を立てつづけながら「この一瞬を忘れるものか!」

とでも言っているかのように、目の前の青い海と空の中に分け入っている。


            


 西の海を見晴らすバルコニーのデイベッドに座る西はオレンジ色から次第に青紫色

に変わり、そして段々と濃い紫に変化する空をじっと堪能しているようだった。


             


 「今日はどうする?」西は少しだけ首を傾けながら、ミナミに声をかけた。間髪入

れず、「う~ん、気分はロブスターかな?」とミナミは答えた。「いいわね~ベイク

ド?スチームド」「う~ん、ベイクドの気分かな?いや、スチームドもいいかな?私

は酢醤油をちょっとだけつけて食べるのが好きなんだよね。さっぱりしてて、それっ

てよくない?それに、いんげんとレタスとアボカドとクルミのサラダなんていいんじ

ゃないかしら?ブルーチーズソースをかけてね、ねえ、どう?」「いいわね」西は変

わらずデイベッドの上で西の空をじっと見つめたまま、空に向かって返事をした。


            


 「それにブラウンマッシュをたっぷり使った豆乳の裏ごしスープでどうかな?それ

にスパークリングワインがめちゃめちゃいけるでしょ」「そうね」西はまたすぐに答

えた。


            


 南はしばらくまたぴちゃ、ぴちゃ音をたてながら段々と見えずらくなる白いビーチ

パラソルをじっと眺めている。「予報だと今晩は雨だって。だから砂浜の席より中の

ほうがいいかもね」「そうね」西もすぐ同意した。


             


 「そっち(の空)はもう全然紫色?」「うん、きたきた紫が来たわ!」「それなら

、もう少し天気、もちそうだから、やっぱり外の席予約しようよ~」「うん、いいわ

ね」


             


 「でもちょっと待って、昨日、エビチャーハンにしたから、また甲殻類というのど

うかな?もしかしてお魚がよくない?お魚ならシンプルな塩焼きが好きだけど。大き

な魚は大味だから小さいなやつがいいわよね。パンじゃなくてかまど焼きのごはんに

乗せてね、ハマグリかあさりのお吸い物なんかいいわね。それにお吸い物ときたら、

うりときゅうりの浅漬かな。熱々のごはんに乗せてぱくっと食べたいな」「そうね、

それもありね。でも、和食もいいけど、タイ料理って選択肢もあるよわ。ナンプラ

ーでいただく
ふっくら蒸しただけのお魚もいけるよわ~香草たっぷりでね。それな

ら、空芯菜の炒めものと、パッタイが欲しいな。私、やっぱり香辛料派だから。ミナ

ミちゃんは和食派でしょ?」「そんなわけじゃないけど、かまどで炊いたご飯に勝る

ものってないのよね。そう考えたら、やっぱり、蒸した魚より、焼き魚でしょ。焼き

魚ってなれば、貝汁だし」ミナミの言葉を遮るように西は口を開いた。「それを

言うなら、やっぱ、ぷりぷりエビたっぷりのトムヤムクンでしょ。トムヤムラーメン

で締めるっていうのもいいんじゃない?」


            


 西はぱちゃと大き目の音をたてると、「言えるよね、日本人としては、最後はごは

んとお汁か麺よね。私、だからイタリアンは合わないのよ、あの順番がね。前菜、パ

スタでおなかいっぱいになった後で、メインの魚とかお肉っておいしさもほどほどな

のよね~そこがなんとも残念というか、しっくりこないというか、で、最後にパスタ

で締めたいなって思うのは私だけじゃないと思うのよね」「わかるよ。その気持ち。

私もだから、無国籍料理の店が好きだな~。かしこまって食べるのも時にはいいけど

でもかしこまった料理作っている人たちだって、食べたい順番に食べたいなって思う

こともあるんじゃないかしら?」


            


 しばらくの沈黙の後、いよいよ太陽のかすかな残像だけを残した空を眺めながら、

西はぬるくなった水を口に含むと「あのさ」と切り出した。「昨日もさ、こんなこと

話さなかった?」西はミナミに白い顔を向けた。「うん。かも」「かも、じゃなくて

さ、実際そうだよね。それでいつも決まらなくてさ


            


 キンコーンと鳴る合図で東 雄大は椅子から立ち上がった。


             


 東のデスクの向いの壁には赤紫に染まった西の空とその左に濃い青を残した海を

見晴らす広々としたリゾートホテルの写真のカレンダーが貼ってある。

 それは1月から12月まで同じ1枚の写真で、東はそのリゾートをこの1年間ずっと

見続けてきた。


             


 カレンダーの中の二人の女性は何を話しているのか、こんな素晴らしいリゾートの

夕暮にどんな会話を交わしているのかと、いつも夕暮れ時になると想像を膨らませて

しまう。


             


 そして東は今日もそのリゾートの優雅なシーンを見ながら残業前の腹ごしらえに、

コンビニの焼き魚弁当か、あるいはトムヤム焼きそばを食べることになるだろう。そ

の後、デスクで15分間の仮眠タイムを過ごした後、東の壁のリゾートの借景で目覚

めることになるだろう




   




   
*上のイラスト及び写真から「リサコラムの部屋」へ入れます。
    こちらも人気のページです。ご愛読に感謝致します。
  
   *「リサコラムの部屋」は10最後に0の付く日の連載です。


P.S.1
   「おいしそうな料理の写真をいっぱい見ながら、幕の内弁当を食べる気分ですね」

P.S.2
   さて、クリスマスはカウントダウンまでがうれしく長く、そして一気に終焉を迎えます。
   丸の内OLのA.Akiko様よりお送りくださったKITTEビルの
   巨大なホワイトクリスマスツリーで名残惜しみながらも
   カウントダウンをしたいと思います。

            


       巨大迫力のツリーの高さはビルの約5階分もある14.5mだそうです。


            


          お色直しのピンク系オレンジも極彩色でアートです。


            


          2度目のお色直しはブリリアントなグリーンです。
          実物の迫力はきっとスペクタクル映画を超えるでしょう。


           

          それでは、来年の好景気を祈ってビジネス街の
          イルミネーションより今週は失礼いたします。。

     A.Akiko様、朝撮り、夜撮り、すてきなクリスマスをありがとうございます。
    そして来年のカレンダーにもご登場いただき、心より感謝申し上げます。
    素晴らしい2015年の締めくりまであと1回リサコラムを楽しんでいだけますように。

.S.3
    E-Book「
Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド
   リゾートとは何かについてこれも真剣勝負で書いたものですから、
   インテリアだけの本ではなく、難しい部類のコラムに入ると思います。
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。

                      



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。




シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-               

(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      

Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。                                
    
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