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リサコラム
連載485回
      本日のオードブル

ある13日間

第1日

「コマコの新しい元日」

木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つ販売員。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。甘いものは苦手。
アマン系リゾートが好き。ただし
お酒はぜんぜん強くない。
好きな作家はロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。


高さ4mあるブルーの楕円の天井から下がる
2段のシャンデリアは白いランプシェードを
かぶったクラシカルでロマンチックなもの。
その下にガラスの楕円のテーブルを
置いて床を見せますとテーブルの
下まで明るい光が届きます。
テーブルの上の3つの
ガラスの花瓶は
バラの花を
たっぷり
活けて
ます。
床には
カラーと
バラの
花瓶が
それぞれ
3個ずつ。
正面のブルーのカーテンに
囲まれた部屋は自慢のベッドルーム。
右のプールごしに見える部屋はダイニング。
元日ですから夢のSOHOの家は大きくゆきたいです!

 
      
  





      

第1日 「コマコの新しい元日」


  

 「コマコの誓ほどあてにならないものはないわよ。いつも3日坊主にだってなれな

いんだから」まだゆめうつつから覚めないコマコの意識は、子供の頃から母に言われ

続けてきた嫌な言葉を拾い上げてきた。


          


 「そんなことはもう」コマコはじっと頭を動かさないようにして、ベッドから

両足を床に降ろした。そして、そろそろとベッドサイドの小さなミカン箱のような小

さなデスクの前に座ると、パソコンを開いて文字を打ち込んだ。「2016年元旦」


 今日からなにがなんでも日記を付ける。これがまずは年始に当たり、コマコが決め

たことだった。


             


 しかし、コマコは頭をがくん、がくんと、前、後、横へと見えないヒモで引きずら

れそうになりながら、それでもなんとか覚醒しようと大きな背伸びをしてみた。「う

~ん!」しかし、そうやってなんとか踏ん張ってみても、睡魔という強大な大魔神は

コマコをまた温かな夢の領域に引きずりこもうとする。「あ~、元旦から大魔神に負

かされるものですか!」


            


 コマコと大魔神との戦いは幕を開けた。コマコは大きく左右に頭を振るとまたパソ

コンに向かった。「2016年元旦の私の誓い。朝は4時起き」コマコは目をつぶっ

たままでキーを叩いた。「そしてベッドを整える。モップをかける。そして家庭菜園

にじょうろで水をやる。洗濯機の中から昨日乾かしたタオルを取り出して、たたむ。

次の洗濯物を入れる。今日来て行くシャツにアイロンをかける。それから公園の周り

を一周してから、ラジオ体操。帰ったら、シャワーを浴びてえええええええええええ

ええええええええええええええええええええええええええええええええ」コマコはは

っと我に返った。A4の約半分に描かれた「え」のアートをデリートキーで消し去る

と涙をふいて、もう一度、背伸びをしてみた。


             


 「次に、朝食の準備。食事を終えたらすぐに後片付け、そして歯を磨きながら耳に

イヤホンを入れて、英会話レッスンを20分間しながら、着替え、身支度。ここまで

で約2時半が経過。午前7時きっかりに家のドアを開けて外に出る。通勤時間はドア

・ツー・ドアで約35分。つまりデスクに着く時間が735分。もちろん、だれも来

てはいない」 コマコの頭は次第にはっきりしてきた。立ち上がると冷蔵庫からミネ

ラルウォーターをグラスに注いでまたパソコンの前に戻って来た。


             


 ひざの曲げ伸ばしをしてから、また小さな椅子に腰かけ、文字列を眺めた。「午前

8時45分の始業時間までおよそ1時間。この貴重な時間を確保するには、どうしても

朝4時起きしかないのよね~」大きなあくびを一つと背伸びを一つ、ついでにごりご

りという音をさせながら首を回すと、デジタル時計は朝の7時5分を指していた。ま

だ家から一歩も出ていないどころか、まだやっと目覚めたばかり。コマコはふぁ~と

大きなあくびをした。


             


 冬の暗い朝の時間は夜との区別がつかない。コマコは休みの日の昼寝を通り越して

夜の7時半に目が覚め、朝の7時半かと勘違いして冷や汗をかいたことが何度となく

ある。そんな夜はまた眠れないから、朝寝坊する可能性が高く、これからまだまだコ

マコのもっとも不得意とする冬の朝が続く。


             


 コマコは今まで幾度、5時起きを決意したかわからないが、そのたびに挫折をして

きた。挫折を繰り返すたびに、5時という時間にはいじわるな睡魔という大魔神が跋

扈(ばっこ)するとしかコマコには思えなかった。それなら、先手必勝で1時間前の

4時起きして、大魔神が完全に起きる前に自分が起きあがる必要がある。今年はそれ

を新年の誓としようと、昨年から考えてきた。しかし、それを実行するためには意識

だけでなく、環境の中の要素を変える必要があることはわかっていた。4時起きを決

意しただけで、それがスムーズに実行できるくらいならもうとっくにしているだろう

から。


             


 朝の4時からのスケジュールをきちんと決めることは当然だが、それより無理なく

実行に移すにはどうしたらいいか。朝の7時35分にデスクに着くことで誰よりも早

く仕事に取りかかれる。よって誰より早く退社できるはずだと考えた。そうは言って

も、無理な場合もある。「どんな時でも1時間以上は残業をしない!」コマコは

「!」マークを打ちこむと思い切りエンターキーを叩いた。


             


 「世の中には会社に行かなくても仕事ができる会社もあるんだから、私のような

OL
だって、SOHOを持つことだって夢じゃないはずよ。あ~あ、海外の映画かドラマ

に出てくるみたいなかっこいいオフィスを持てないものかしらね?そんな環境なら、

4時起きだって簡単よ!」コマコは机に両肘をつくと真っ白いページを眺めた。


             


 「広いSOHOがいいな。ベッドルームとガラスの壁で仕切った広いオフィス。大き

な楕円のガラスのデスクを置いて、その上にはパソコンを1台だけ。朝4時には自然

に目覚める。軽い体操をした後で、隣のジムで1時間汗をかく。そしてシャワーを浴

びてから、部屋着のローブをはおり、朝のコーヒーをセットしたらそのまますぐにデ

スクで仕事を始める。部屋にはモルディブの森と海の音が常に流れていて、3時間集

中して仕事をした後で、朝食は昼食を兼ねてプールを眺められる場所で、デザートま

で約1時間半、電波を発生させるものなしでゆっくりと取る。プールはもちろん眺め

るだけのプールではなく、エクササイズのための25mの細長いもの。その後2時間

でその日の事務作業の大半を終える。午後はその日一日のスケジュールに漏れがない

かの確認と明日の仕事の確認のための時間。着替えを済ませて、デスクワーク以外の

仕事のために読書をしながら待機する。時には顧客の元へ、あるいはその他の用事を

済ませるために外出する。午後6時に帰宅するとその日は終わり。そしてそれから夜

中の12時までは「大晦日」と呼ばれる日となる。だから常に1年中、大晦日と元日

を繰り返し、つまりやれなかったことの悔いは決して残らないと!」コマコは「!」

のキーを打ち込んだ後、エンターキーをまた力強く押すと、うるんだ目でスケジュー

ルを眺めた。


             


 毎日が大晦日で元日であれば、「コマコの誓ほどあてにならないものはないわよ、

いつも3日坊主にだってなれないんだから」といわれることもなくなるとコマコは思

った。


             


 コマコは新年の誓の元旦の日記を打ち終わると、みぞおちのあたりが少し暖

かくなるのを感じた。そして段々と意識が遠くに引きずられるままに、その心地よさ

に身をゆだねた。


             


 今朝は新年の3日目、コマコの3回目の元日の朝だった。



   




   
*上のイラスト及び写真から「リサコラムの部屋」へ入れます。
    こちらも人気のページです。ご愛読に感謝致します。
  
   *「リサコラムの部屋」は10最後に0の付く日の連載です。


P.S.1
    2016年の新シリーズを始めました。
   「時間管理は人生を制す」と思っていました。それにはいろんな考え方、方法が
   あることがわかりました。「毎日が大晦日で元日」これは私自身のアイデアです。

P.S.2

    2015年最後の「リサコラムの部屋」はご覧になられましたでしょうか?
   歯科医師の権藤ひとみ様からお送りいただきましたお写真の中で掲載できなかった
   おいしそうなデザートをご紹介いたします。小学生の息子さんのおやつによく作られる
   お砂糖で煮ていないりんごを使った自然な甘さのアップルパイです。


            


    スライスしたりんごを冷凍パイシートでくるくる巻いてオーブンで焼き、
   シナモンシュガーをかけて作る、見た目もアートな簡単おいしい手作りデザートです。
    おひとりでクリニックを運営されながら、美しい暮らしを維持して、
   さらに素早い手料理作りをなさる時間管理をぜひ、盗みたいです。
    まだご覧になられておられない方はぜひ、上の横長のイラストをクリックして
   ご覧くださいますように!


P.S.3
    E-Book「
Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド
   リゾートとは何かについてこれも真剣勝負で書いたものですから、
   インテリアだけの本ではなく、難しい部類のコラムに入ると思います。
   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。

                      



  バックナンバーの継続表示は終了いたしております。

  書籍化の予定のため、連載以外のページは見られなくなりました。

  どうかご了承くださいますように。




シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-               

(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      

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マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。                                
    
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