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リサコラム
連載952回
      本日のオードブル

『名画の中へ』

第4話

「永遠のカミーユ瞳」


木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つデザイナー。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。





真っ赤過ぎる、

ドギツイと言われた

着物姿の金髪女性は

西洋と東洋を結び付ける奇妙な

アイコンなのかも、

でも、もっと違う味方もできるのかも






 



第4話  「永遠のカミーユ」




 「私の名前はカミーユ・ドンシュー、もしくは、カミーユ・モネ。

モネと言えば、『印象・日の出』、『睡蓮』、印象派の画家でジベル

ニーに広大な庭園を造り、そこで庭師になり、画家としても庭師とし

ても成功した、あの堂々たる白髭を蓄えた巨匠のイメージ、でしょう

か?


            


 でも、光があれば、陰があるように、その輝かしいモネの業績の陰

にいたのは、この私なのだとご存じでしたでしょうか?少なくとも私

はそう思っています。


            


 若き日のクロード・モネは父親の反対を押し切って絵の道に進んだ

ために、その後の援助を打ち切られました。そのため、彼に常に付き

まとっていたのが、貧困ということでした。貧困にあえぎながら、

無名から有名になる足がかりをつけるまで、時にセーヌに飛び込んで

“中途半端な”自殺未遂さえ犯した10数年間、画家である夫を有名に

するために陰で支えたクロード・モネの最初の妻が私、カミーユで

す。そんなことを言えば、私がモデルのこの『ラ・ジャポネーズ』

にはそんな貧困のイメージはないのにと思われるでしょうか?


            


 もちろん、どんな人生にも様々な辛い出来事や困難が待ち構えて

いるのはわかっています。でも、耐えがたく、心が折れそうになる

ほど辛くても、なかなか抜け出せない困難のひとつが貧困だと思い

ます。私の夫、モネは若い頃、他の無名な画家と同じように貧しく

て、借金取りからいつも逃げまくっていました。私も貧しい家の出

身で、10代から絵のモデルで生計を立てていたのですが、モネの

モデルをするうちに私たちはお互いに惹かれ合い同棲が始まりまし

た。1867年、私が20歳の時に息子、ジャンが生まれました

が、それでも彼の親族は私たちの結婚を認めず、私と息子を引き

離しにかかったのです。彼は叔母から資金を得るために、私と別

れたとウソをついて、叔母の家に住むことになりました。私の人生

で最も辛酸を舐めた最初がこの時でした。


            


 花の都パリの冬はご存じですか?落ち葉の季節が終わると、暖房

のない夜は零下になります。若干20歳の未婚の母と生まれたばか

りのその息子はパリの冷え切った一部屋だけのアパルトマンで食事

も満足にできず、凍えながら、クリスマスに彼が秘かに戻ってくる

のを待ちわびたのです。しかし、貧乏のどん底生活にはパリは高す

ぎて、ベンクールというパリの北の田舎町へ移住しました。しか

し、宿代を滞納してそこも追い出され、かろうじて私と息子は村

人の世話になって生き延びることができ、クロードはその間、芸術

のため、より差し迫ったパンのために多くの絵も描きました。そし

て、息子が3才になった1870年、私はクロードの父、叔母に見

放された貧乏画家の正式な妻になりました。それからも、私は常に

夫のモデルになり、妻になり、母親になり、夫が有名になれるよう

に陰になり日向になり必死で支えたのです。しかし神様は私に32

年という短い人生しか与えてくれませんでした。そして夫、クロー

ド・モネは86歳まで生きました。


            


 この230㎝を越える『ラ・ジャポネ―ス』、“その日本人女性”、

あるいは、“日本人女性”を代表する人物という絵のために、私は

着物を着せられ、頭には金髪のウィッグをかぶせられてモデルに

なりました。その当時、1855年の最初のパリ万国博覧会から

、浮世絵や日本文化、といっても上面の文化ですが、ジャポニズ

ムという、日本ブームが起きていました。ほら、私が着ているこ

の着物、打掛という、すごく貴重なものですよね。でも、これは

着物とはいえ、花嫁の衣装で、普段着るものではもちろんありま

せん。そして、派手な色彩の『ラ・ジャポネーズ』は物議をかも

しました。まずこの赤い着物の色が“えげつない”と。それに着物

から飛び出したように見える刀を2つ差して、ヒゲを生やしたお

侍さんも。それに見返り美人画的なアングルも手伝って、モデル

である、私、カミーユの印象も西洋と東洋のコラボを担った奇妙

な雰囲気を持つ人物として捉えられることがありました。でもこ

の絵は高い値段で売れましたので、それはとっても良かったと

思います。


            


 しかし、その後も私たちの生活は苦しいままでした。さらに、

私の健康状態は悪く、2人目の子供が生まれてからさらに悪化し

て、私たちはパリからヴェトイユというセーヌ川の下流にある小

さな村に越しました。しかし、そこに、モネの絵の顧客、愛好者

パトロンのオシュデ一家6人が財産を使い果たして転がり込ん

できたのです。私たち大家族はまた、食料も暖房もない貧困生活

を強いられることになったのです。


            


 そして、その1年後、私はこの絵のモデルをした3年後の

1879年9月5日に二人の子供を残してこの世に別れを告げる

ことになったのです。私は32歳でした。


            


 私は、冬はセーヌが凍るような貧乏生活しか知りません。

しかし、今の私の魂はほかほかで平安です。夫、クロード・モネ

がその後、有名になって、私の息子たちもおかげで贅沢ができる

身分にまでなったからです。そして、今では私の絵の前で同じよ

うな着物をわざわざ作って持参して写真撮影してSNSで宣伝ま

でしてくださる方がいらして、そして、この絵に限らずですが、

私の絵の複製が世界中に流通し、本当にありがたいと思っていま

す。


            


 それに、ここ、私の住まい、ボストン美術館は、夏涼しく、

冬暖かく、1年中、快適な温度湿度に保たれていて、そんな中で

私はゴージャスなゴールドの額縁の中に納まることができて、

ほんとうに幸せなのです。私はこの世界には32年間しか滞在で

きませんでしたが、あの世とこの世をつなぐ絵の中で、私は半永

久的に温存されて生きられるのですから。


            


 ほら、私からオーラが出ているのがわかります?クロード・

モネの描いた陰はモノクロではないのです。オーロラのような

虹色の陰なのです。人はこの世で生きている間、貧乏でもいい

のです。幸せを探す理由なんて知りません。それに探しても絶対

に見つかりません。私は私を見に来てくださる方みんなにそれを

日々、訴えかけているのです




  



上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。


p.s.1

 富豪な画家はピカソだけと言われます。


この絵を3時間ほどで模写するなんて失礼極まりないと

思いました。模写にもなっていません。




p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
「もの、こと、ほん」は下の写真から、2025年1月号です。



           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

    の英語版です。

    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”

    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:

    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に

    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに

    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。

    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 







































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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