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リサコラム
連載1005回
      本日のオードブル

『千夜と千日』

第6話

「祖母、母、わたし」


木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つデザイナー。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。





レインボーブリッジを

背に、ベンチで

本を読む女性

視野が広がる場所は

気持ちがすっと広がる場所かも。




 



第6話 「祖母、母、わたし」



 私は3世代同居の家に生まれた。そして、ゴッドマザーとも言うべ

き祖母からいろんな話を聞かされながら、昨年までずっと一緒に暮

らしてきた。


            


 祖母は昭和21年、1946年、戦後すぐに生まれた7番目の子供

で、今年80歳。なのに、1リッター3kmしか走らない、エコとは

程遠いヴィンテージカーのようなBMWに乗っている。趣味は、近場

のドライブ、行った先のお店やレストランで聞かれもしない自分の激

動の人生を弾丸のように語ること。知らない人とも、10分もしゃべ

れば、「私は5万円持って20歳で駆け落ちしたのよ。だから人生、

勇気と5万あれば何とかなる」と人生訓を垂れる。


            


 当時の5万円は、おそらく、今の30万円位にはなるのだろうか、

それから彼女は、親の反対を押し切って今の祖父と結婚した。そして

今年、結婚60年周年を迎える。
私はドラマより奇異な彼女の人生

の道のりをもう何度も聞いたか、わからないくらい聞いてきたがいつ

も最後は母に結婚相手を見つけるまでの苦労話になる。「美人でもな

いから、結婚相手が見つからなくてね…」と。そして、その娘、つま

り、わたしのことも心配だと、ずうずうしくも言ってのける。聞き手

の私は姿形は私のせいばかりじゃないんだからと反発心を抱きつつも

別に気にしていない風で笑う。


            


 ある日、祖母は私に、母の生まれた日の話を切り出した。「夕方、

買い物をして、歩いて帰っていたら、臨月のお腹が急に痛み出して、

それも冬の6時を過ぎでしょ、すっかり日が暮れていて、でも、

まだ旦那さんはまだ家には帰りついていないだろうし、どうしよう

と思っていたら、車が目の前に止まってね、『お姉さんコーヒー飲

みに行かない?』と誘いかけてきたのよ」と。ずるがしこい祖母

は、これ幸いとばかりに、即座にドアを開けて後部座席に座ると

「○○産婦人科、行って!赤ちゃんが出そうなのよ!」と叫ん

だそうだ。男性は驚き、慌てふためき、でも、言われた産婦人科

に送り届けてくれたそうだという。だから、「そんな風に生まれ

てきたのがあなたのお母さんだから、あの子は肝が座っている、

私に似てね」と言った。そして、私のことも、「七子も、最近、

私にそっくりになってきた」と言った。


           


 私は今年26歳。祖母は80歳。似ていると言われたらかなり

ショックだが、祖母はさらに畳みかけるように、「昔は結婚相手

を選ぶとき、相手ではなく、相手のお母さんを見て決めたのよ。

お母さんが家のことがちゃんとできているかどうか、そして、美

人かどうかもね。将来娘は母親そっくりになってくるんだから」

と。祖母が言いたいことはわかっていた。私は子供の頃から

「七子は母親譲りのひとえまぶたで、目と目が離れている」と言わ

れてきた。今ならパワハラか、児童虐待になるようなセリフだが、

受け流しながらなんとか生きてきて、やはり、肝が据わっているの

かもと、自分でも思うことがある。さらに、数年前から、七子は

美人じゃないから、結婚相手を見つけるのは難儀するだろうとま

で。ひとえまぶたで目と目が離れていたら、結婚できないとでも

いうように。


           


 そんな劣等感を最初から植え付けられた私は、しかし、案の定、

誰からも声をかけられることもなく、23年目の人生にさしかかっ

たある日、同僚のある男性が、私に好意を持っているらしいことを

別の女性の同僚を通じて知った。ひとえまぶたで目と目が離れてい

ても私を好いてくれる人はいるものだ!と勝ち誇った気分だった。

その相手は私好みではなかったとはいえ、生まれて初めて男性か

ら好意を持たれた私は舞い上がってしまった。そして、最初のデー

トがなんと、私の誕生日パーティになった。しかも、私の家で!彼

は非常に真面目な人で、私の母に挨拶をしたいからなど言った。私

は母を見に来るのだろう、どんな母親で、美人かどうか、私がこの

先、母のようになるのであれば、確認できる絶好のチャンスだと思

ったのだろうと、祖母の教えからそう思った。


            


 
しかし、私の家に招かれた彼がまず尋ねたのは、「七子さんは、

長女なのに、どうして、7がつくのですか?」だった。私は今ま

で疑問に思わなかった自分の名前の由来を彼が興味を持ったこと

に驚いた。しかし、母はよくぞ聞いてくれたとばかりに話し出し

た。「夫になる男性と付き合い始めた頃、ちょうど、レインボー

ブリッジができる頃で、それがいつも、ホットな話題だったんです

よ。ちょうど、『東京ラブストーリー』というアニメのドラマがす

ごく流行っていて、建築途中のレインボーブリッジが背景に使われ

たものですから、連日、レインボーブリッジができて行く様子を見

に行く見物人がたくさんいました。私たちもお金のかからないデー

トスポットとしてずっと利用してましてね。橋の完成まで6年かか

ったようですが、その間に私たちは結婚して、女の子が生まれたん

です。その子の名前に、レインボーブリッジの何かを使いたくて、

虹子にするかと思ったのですが、私は虫が嫌いで、それで、七色の

虹という意味で、七子とつけたのです」母はとてもうれしそうに語

った。


            


 私はと言えば、そんな初耳に驚くと同時に、見ず知らずの、しか

も、娘の初デートの相手にするものなのかと常識を疑ったが、知ら

ない人でも、弾丸トークでしゃべりまくるあの祖母にして、この母

ありなのかと納得もした。


            


 それも束の間、次は祖母が、私の子供時代から今までのあることな

いことを散々語り、随所で私を褒めちぎった。これまで、ひとえまぶ

ただの、目と目が離れているだの、もうちょっと勉強ができたらよか

ったのにと、散々、けなされてきた私は開いた口が塞がらなかった。

しかし、彼はどんな感情を抱きながら黙って聞いていたのかと、不安

でいっぱいの私を尻目に、母と祖母は終始、にこやかに、ほぼ一方的

に話をして、約3時間の私のバースデーパーティは終った。


            


 午後9時を過ぎて、彼がまともにしゃべったのは、「今日は大変お

じゃまいたしました。それでは、そろそろ失礼します」と言ったセリ

フだけだったように思う。


            


 玄関で彼が深々と挨拶をして出てゆこうとしたとき、祖母が彼のそば

まで行って、そっと耳打ちした。彼はちょっと笑いながら「わかりま

した」と言うと、また深々と頭を下げてそのまま帰って行った。


 そして、あの恐るべき誕生日会から2年と約10ケ月後、私と彼は

結婚することになった。数えたらちょうど1000日目だった。私は

結婚式の前日、1つだけ、気になっていたことがあると彼に切り出し

た。それは、あの誕生日会の日に、祖母がなんと耳打ちしたのかとい

うことだった。「おばあちゃんは一体、なんて言ったの?」私が思い

切って尋ねると、彼は笑いながら大した事じゃなかったから忘れたと

言った。式も無事終わり、しばらくして、実家に遊びに行ったある日

、祖母が男性客にこう言っているのを耳にした。「美人は1000日

で飽きる。ブスは1000日で見慣れる」そんな祖母は明日、大勢の

知人、友人、親戚縁者を呼んで堂々と結婚60年目のプラチナ婚式の

パーティを催す。私はその時、述べる言葉を前から考えている。


            


 「目と目が離れている人間は視野が広い、つまり、心も広い。

だから、1000日で嫌なこともすっかり、忘れる」と





   




上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。



p.s.1


あるお客様の実話と教えて頂いた名言を元に…



p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
「もの、こと、ほん」は下の写真から、2026年2月号へ。



           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

    の英語版です。

    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”

    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:

    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に

    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに

    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。

    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 







































































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