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リサコラム
連載1006回
      本日のオードブル

『千夜と千日』

第7話

「モナリザのバカンス」


木村里紗子のプロフィール

マダム・ワトソンで400名以上の顧客を持つデザイナー。
大小あわせて、延べ1,000件以上のインテリア販売実績を持つ。
著書「シンプル&ラグジュアリーに暮らす」(ダイヤモンド社
紙の本&電子書籍)(2006年6月)
「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」
(電子書籍2014年8月)
道楽は、ベッドメイキング、掃除、アイロンがけなどの家事。
いろいろなインテリアを考えだすこと。
新リゾートホテルにいち早く泊まる夢を見ること。
外国語を学ぶこと。そして下手な翻訳も。

20年来のベジタリアン。ただし、チーズとシャンパンは好き。
甘いものは少々苦手。
アマン系リゾートが好き。ただしお酒はぜんぜん強くない。
好きな作家は
ロビン・シャーマ、夏目漱石、遠藤周作、中谷彰宏、
F・サガン、
マルセル・プルースト、クリス・岡崎、千田琢哉、他たくさん。





謎の微笑みにも

時にはシフォンレースカーテンで

覆ってあげたい。







 



第7話 「モナリザのバカンス」



 「私は、もう、疲れました。休ませてください」私の心の叫びを

耳にしたことがありますか?


            


 しかし、フランス政府のトップはそんな私の思いとは真逆に、

2030年までにはさらに多くの人から、じっと、じろじろと、

舐めるように見られるために、私は特別な場所に移動させるそう

なのです。さらに、私と一対一で数十分の濃密な時を過ごした

ければ、防弾ガラスの中からではありますが、そんなことも

可能となるそうです。むろん、大金を支払うことによりですが…。


            


 私はつまり、フランス政府の大きな財産、平たく言えば財源とし

て、もっと下世話な言葉では、人寄せパンダです。日々、朝9時か

ら夜9時までの12時間労働で、1年間で1千万人の人々に微笑み

続け、無断で写真を撮られ続けるのです。ときには罵声をあびせら

れることも、何かをかけられることもあります。


            


 そんな日々を送る私は時々、空恐ろしい気分になります。私のこの

先の運命は紀元前19世紀にミイラとなった女性、「楼蘭の美女」と

同じではなかろうかと。他人事ではありません。かの「楼蘭の美女」

と呼ばれる名前のない女性は3800年前に亡くなり、ミイラとなっ

て地中から掘り出され、下着も、さらに内蔵すら、衆目にさらされて

しまったのです。生前の姿を想像して、きっと絶世の美女だったろう

と言った人が、これまた、宣伝を兼ねて、「楼蘭の美女」と名付けた

ようです。今、見られるのは彼女のミイラのレプリカだそうですが、

しかし、3800年も経てば、その肢体はどうみても美しいとは言え

ません。一体、自分の死後3800年も経って、ミイラとなった姿で

人様に見られたいものでしょうか?死人に口なしとはよく言ったもの

で、魂のない抜け殻をずっとさらされ続けなくてはいけないその女性

のことを思うと、憐れみの気持ちに苛まれます。そして、それは、防

弾ガラスの中に閉じ込められた私の運命を見ているような気がするの

です。


            


 そんな悲しい運命の中でも、ただ一度だけ、幸せを感じたととき

がありました。それは1911年から1913年の大晦日の日まで

の2年半でした。私は、ルーヴルの職員によって助け出され、彼の

自宅のテーブルの下で静かに過ごすことができたのです。私をフラ

ンスから盗み出し、祖国イタリアに返そうともくろんだその人が、

ピンセンッオ・ペルージャです。転売による、お金目的があったの

は当然ですが、愛国心から私にイタリアに返そうとしたそうです。

しかし、彼の家で静かに過ごすことができた2年半によって、逆

に、世界中に私の名前を知らしめることになりました。それだけで

はありません。数々の憶測、推理を産み、パロディを産み、私は、

世界で知らない人はいない程の有名な美女になり、頑強な監視の下、

終身刑にさせされることになったのです。


            


 私の生みの親はイタリア人でしたが、私を描き、亡くなった後、

私はフランス国王、フランソワ1世に買い取られ、イタリアに帰さ

れることなく、フランス国籍のまま、各地を点々として、未来永劫

の地として、ルーヴルを与えられたのです。もう一歩もこの場所か

ら出ることは許されないでしょう。


            


 そして、時として、私は思います。有名であることと、無名であ

ることはどちらが幸せなのだろうかと。もし、私がこの世に生み出

されなかったら、この世界はどう変わっていただろうかと。ルーヴル

の人寄せパンダの役目は他の誰が担っていたのかと。一方で、犯罪者

となったペルージャは、おかげで未来永劫、フランスに莫大な富をも

たらすことになった陰の英雄となり、実は秘かに手を合わせている人

がいるはずだと思っています。私をここまで有名にしたのはペルージ

ャですから。そして、もちろん最も利益を得たのが、フランスです。

イタリアがどんなに私を返せと言っても、決して返すことはないでし

ょうし、訴訟を起こされても、フランス国内で裁かれるのであれば勝

ち目はありませんし、どんな大金を積まれても引き渡すことはないで

しょう。イタリア人はそして、この先も、ずっと歯ぎしりするしかな

いのです。


            


 私自身は1度でいいから、防弾ガラスにから出て、着の身着のま

ま、私の父の生まれ故郷アンキアーノ村の私の父の家に戻ってみた

いのです。しかし、それが実現する事は100%ありません。それ

を知りながら、「謎」と言われるままに微笑を浮かべ続けて500

年、もう、疲れました。常に衆目にさらされる終身刑の囚人でも、

時々は休ませてほしいと思います。そう、だから、私はルーヴルの

職員に悲痛な叫びを送っているのです。


            


 ご存知ですか?そんな私の叫びに対して、彼らは時として、約1

週間から10日の連続休暇、冬と夏にバカンスを与えてくれること

があることを。それは私のため、そして、他の多くの仲間のためで

もあるのです。ですから、彼ら、美術館員のストライキを、どうか

観光客のみなさま、恨まないでください。せめて、年に2週間ばか

り、他のフランス人と同じように、ささやかな私のバカンスをどう

か、どうか、お許しください。これからのモナリザの微笑みのため

にも





   




上のイラストから、「リサコラムの部屋」に入れます。



p.s.1


 たった、3時間ほどで描いた絵に○○〇〇の模写なんて

畏れ多くて言えません。

ルーヴルの入館料も上がるそうですが、リニューアルしたら

さらに、人気が出るというのが、世の常です。



p.s. 2  インスタグラム、私の日常です。

  
「もの、こと、ほん」は下の写真から、2026年2月号へ。



           


p.s.3
    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

    の英語版です。

    写真からアマゾンのサイトでご購入いただけます。


           


    タイトルは、"Bedroom, My Resort”

    Bedroom Designer’s Enchanting Resort Stories:

    Rezoko’s Guide for Fascinating Bedrooms


    趣味の英訳をしてたものを英語教師のTodd Sappington先生に

    チェックしていただき、Viv Studioの田村敦子さんに

    E-bookにしていただいたものです。
 
p.s.3
    下は日本語版です。

    E-Book「Bedroom, My Resort  リゾコのベッドルームガイド」

   どこでもドアをクリックして中身をちょっとご見学くださいますように。


                 







































































シンプル&ラグジュアリーに暮らす』
-ベッドルームから発想するスタイリッシュな部屋作り-
 
(木村里紗子著/ダイヤモンド社 )                      Amazon、書店で販売しています。 なお、電子書籍もございます。

マダムワトソンでは 
                                    
    木村里紗子の本に、自身が愛用する多重キルトのガーゼふきんを付けて
  1,944円にてお届けいたします。
 
 ご希望の方には、ラッピング、イラストをお入れいたします。     
                           
    
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